賃貸借契約に必要とされるのが連帯保証人。
最近では連帯保証人代行の会社も増えてきましたが、それでも賃貸借契約の際は連帯保証人の有無を聞かれることがよくあります。
それでは連帯保証人とは何かご存じですか?

あわせて、賃貸借契約時に求められることがある「緊急連絡先」についても説明します。

 

 

【結論】連帯保証人を頼まれたときに知っておいてほしいこと

まずは結論から。

賃貸借契約における連帯保証人とは「何かあったら連帯保証人である私が責任をとりますので、契約者に部屋を貸してください」という意味です。


  • 連帯保証人には契約者と同等の責任が生じます。住んでなくても実際部屋を借りていると同等の責任です。
  • 連帯保証人に一度なってしまったら辞めることは難しいです。
  • 契約者が家賃を滞納したときは連帯保証人に請求がきます。連帯保証人は拒むことはできません
  • 債権(家賃)は毎月発生し、払わない限り雪だるま式に増えていきます
  • 入居者は法律で守られており、連帯保証人や貸主が強制的に退去させるのは困難です。そして入居者が住み続ける限り家賃は発生します。



以下に詳しく説明をしていきます。



保証人とは

まずは保証人について説明します。

保証人にはいくつかの種類がありますが、ここでは単純保証人と連帯保証人を説明していきます。

単純保証人

まずは通常の保証人(単純保証)について説明します。

通常の保証人には、民法により催告の抗弁権民法452条)、検索の抗弁権民法453条)、分別の利益(民法456条)が与えられます。

催告の抗弁権とは、保証人が貸主から家賃の請求を受けた場合に「まず先に契約者(通常は借主)に請求してくれ」と主張できる権利。

検索の抗弁権とは、保証人が貸主から家賃の請求を受けた場合に「契約者は財産を持ってるから契約者の財産を先に処分してからこっちに請求してくれ」と主張できる権利(契約者に財産があるという証明が必要です)。

分別の利益とは、保証人が複数人いる場合は人数で割った金額のみ保証すれば良いこと。例えば借金100万円で保証人が2人なら1人50万円を保証すればよいことになります。



連帯保証人

次に連帯保証人(連帯保証)です。

連帯保証には、前述の単純保証にある催告の抗弁権検索の抗弁権分別の利益無く、債務者と全く同じ義務を負います。

ですから、契約者が財産をいくら持っていようと家賃の支払を拒否した時は、貸主はいきなり連帯保証人に請求することができます。そして、催告の抗弁権と検索の抗弁権はないので、「契約者に請求してよ」という主張はできません。

また、分別の利益もないので、連帯保証人が複数人いる場合でも、通常の保証人のように頭数で割った分だけ負担すればいいのではなく、そのうちの誰か一人に全額請求をすることができます。

このように、連帯保証人は保証人と比べかなり厳しい義務を負うことになります。

賃貸契約の連帯保証人でいうなら「住んでもいない部屋の家賃数ヶ月分をいきなり請求される可能性がある」ということになります。しかも支払いを拒むことはできません



緊急連絡先とは

最近では、連帯保証人の代わりに緊急連絡先を求められることもでてきました。

緊急連絡先とは、名前の通り「緊急時の連絡先」。保証人ではありません
ですから家賃の支払いなどの責任はもちろん無く、保証人になるときには必要な印鑑証明の提出も不要です。
(もし、印鑑証明などの書類の提出を求められた場合は保証人の可能性もありますので必ず確認をしてください)

緊急連絡先になると、契約者や入居者と連絡がとれないときなどに連絡が来たりします。
連絡内容は「契約者と連絡が取れないんだけど、何か知らない?」がほとんどで、知っていれば教え、知らなければ「知らない」で終わります。

緊急連絡先は、連帯保証人不要システムを利用したときなどによく提出を求められます。
友人知人上司など割と誰でもなれますが、退職などで疎遠になるケースも多いので「できれば身内で」と言われることもあります。

契約者が家賃を滞納しているときは頻繁に連絡がくる可能性がありますが、家賃の支払い義務はありませんので払う必要はありません。


通常の緊急連絡先はこのような感じで、連帯保証人と違い大きな被害を被ることはありませんが、契約の内容によっては緊急連絡先の役割が違ってくる可能性もあります。
ただの緊急連絡先だったとしても他人の賃貸借契約に名前を連ねる以上、自分に求められる役割をきちんを確認してから署名をするようにしてください。



連帯保証人と緊急連絡先の違い

連帯保証人と緊急連絡先の大きな違いは責任の有無です。

連帯保証人は契約者と同等の責任を負いますが、緊急連絡先は責任はありません。
契約者が家賃を滞納した場合、連帯保証人なら払わなければいけませんが、緊急連絡先なら払う必要はありません。

提出書類も違い、連帯保証人は本人確認のために印鑑証明の提出を求められますが、緊急連絡先は不要です。
緊急連絡先なのに印鑑証明を求められたら必ず確認してください。連帯保証人の可能性もあります。



家賃を滞納したら連帯保証人に何が起こるのか

では、実際に契約者が家賃を滞納した場合どうなるのか、よくある一例を紹介します。
あくまで例なので、すべてがこうなるわけではありません。ここでは契約者が部屋に住んでいるものとします。


  1. 連帯保証人を頼まれ了承します。賃貸借契約を締結後、契約者が入居開始します。
  2. 契約者(=入居者)の家賃の滞納がはじまります。貸主は契約者に家賃の催促をします。
  3. 何度催促をしても契約者は家賃を払いません。仕方がないので貸主は連帯保証人に催促します。
  4. 驚いた連帯保証人は契約者に連絡をしますが、「お金がない」などの理由で家賃を払ってくれません。
  5. 連帯保証人は貸主に説明します。「こちらもお金がない」「契約者に請求してくれ」などがよくある連帯保証人の言い分ですが、連帯保証人には催告の抗弁権(「契約者に請求してくれ」という権利)、検索の抗弁権(「契約者の財産を処分してからこちらに請求してくれ」という権利)はありませんので、この言い分は通りません。連帯保証人には払う義務があります
  6. 一度家賃が遅れると、慢性的に支払いが遅れていくパターンに陥りがちです。それにつれて連帯保証人への家賃の請求も増えていきます。
  7. この時点で退去してくれればいいのですが、毎月の家賃もままならない契約者に引っ越し費用を捻出できるはずもなく、あいかわらず家賃は遅れたり払わなかったりが続きます。
  8. 「今回だけ家賃を払ってあげるけど、後はもう知らないよ。これで家賃の滞納がなくなるからこれからは毎月きちんと払ってね」などと言って連帯保証人は家賃を払いますが、だいたい今回だけでは終わりません。また滞納します。
  9. 徐々に連帯保証人への家賃の請求が増えていきます。連帯保証人には催告の抗弁権(「契約者に請求してくれ」という権利)が無いので、契約者にはほとんど請求をせず、連帯保証人に直接請求することもあります。貸主にしてみれば、いくら請求しても払わない契約者より払ってくれる連帯保証人に請求したほうが効率が良いからです。
  10. 悪質な契約者だと、「連帯保証人が払ってくれるから自分は払わなくていいや」とますます家賃を滞納します。
  11. 普通賃貸借契約の場合、通常2年で契約満了となります。「これで連帯保証人が終わる!」と思うかもしれませんが、「法定更新」というものがあります。借地借家法では「契約更新をしない場合は以前の契約と同一条件で契約更新」とみなされるのです。家賃滞納者はだいたい契約更新手続きを行わないので(書類を無視する)、前回の契約内容が引き続き適用されます。つまり連帯保証人は終わらないのです。

これを読むと「貸主は何をしているんだ。さっさと退去させろ」と思うかもしれませんが、なかなか簡単にはいかないのです。

契約者は借地借家法で守られているので、「家賃を滞納したから今すぐ退去してね」とはできません。
退去させるためには、まずは何度も契約者に連絡をして「何度も請求しているのに払ってくれない」という実績を作らなければならず、これに数ヶ月を要します。
家賃の滞納や遅延が続き、いよいよ退去しかないとなったら、弁護士を頼んだり、少額訴訟を起こしたりして本格的な解決に向けて動きます。



連帯保証人を辞めるには

賃貸借契約の連帯保証人を辞めることは難しいです。

連帯保証人を辞めるには、貸主の合意が必要です。連帯保証人の意向だけでは辞めることはできません。特に、毎月債権(家賃)が発生する賃貸借契約の場合、債権者(貸主)が了承することは難しいでしょう。

「賃貸借契約は通常2年契約だから、契約満了したら連帯保証人を辞められるのでは?」という疑問が出てくるかもしれませんが、賃貸借契約の場合「法定更新」というものがあります。

法定更新とは「契約満了日が過ぎても契約更新をしないときは以前の契約と同一条件で契約を更新したとみなす」ことです。
例えば、連帯保証人になりたくないからと契約更新の契約書に判を押さなくとも、契約者が新しい賃貸借契約で新たな連帯保証人をたてない限り、自動で更新となり、引き続き連帯保証人となってしまいます(賃貸借契約更新後も保証人としての責任は免れないとされた事例 / (独)国民生活センター)。
一度連帯保証人になってしまったら、契約者が退去するまで辞めることはできないと思っていたほうが良いでしょう。

新しく連帯保証人を紹介するのならば辞めることができるかもしれませんが、その場合は貸主の審査が必要で、支払能力や身元がはっきりした連帯保証人でないと貸主から断られる可能性が高いと思われます。

最近では、連帯保証をしてくれる賃貸保証会社の利用をすすめられるケースも増えてきています。



連帯保証人になるときは

連帯保証人が危険なのはわかっているけど、やらなければいけないときがあるかもしれません。
そんなときに自己防衛のひとつとしておすすめなのが「定期借家契約」です。

一般的な賃貸借契約は普通賃貸借契約といい通常2年ごとに契約を更新しますが、定期借家契約はこの更新がなく、契約満了とともに契約が終了します。ですから、契約が満了すれば確実に連帯保証人を辞めることができます。

やり方としては、連帯保証人を頼まれたら「定期借家契約なら受けてもいい」と伝えます。不安な方は、契約をする不動産会社に連絡をとり、直接言うのも良いかもしれません。
定期借家契約は契約期間を自由に選べますので、お好きな期間を指定します。ちなみに、このような場合の契約期間は2年が一般的だと思いますが、決まりはないので、「万が一のときに自分が対応できる」期間を指定していいと思います。
もし、契約者や不動産会社に定期借家契約を断られたときは連帯保証人にはならない方がいいです。何か怪しい香りがします。

契約書類にはできるだけ目を通し、定期借家契約であることを必ず確認した上で判を押してください。
定期借家契約が認められるには「期間満了で賃貸借が終了することを書面で説明しなければならない」ことが条件とされていますので、賃貸借契約書にその旨が記載されていれば大丈夫です。
定期借家契約締結には契約書とは別個独立の定期借家に関する書面の交付が必要と判断した事例があるため、定期借家契約であることを記載した別紙(借地借家法38条に則っているため通称「38条書面」といわれています)を用意することも多いです。
書面が無く、口頭のみの説明では定期借家契約とはなりませんので注意してください。

定期借家契約を締結した後は、念のためにその旨を記した書類(契約書、38条書面)のコピーを貰っておきましょう。
連帯保証人は賃貸借契約の書類をもらえないことがあるので、そのときは不動産会社に連絡をしてコピーをもらうようにしてください。


念のために重ねていいますが、定期借家契約は期間満了で契約が終了する契約です。連帯保証人を受けた期間の責任は普通賃貸借契約と同様に免れることはできません。



2020年 連帯保証人制度の改正

2020年に改正民法が施行されます。
これにより、連帯保証人制度関係が大きく変更になります。

【資料】